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ロゴデザイン作成のヒント(1)

  1. design

デザインという行為にはいろいろありますが、今日はグラフィックデザインについて書こうと思います。

店舗やビルを設計すると、それに伴うサインやロゴも一緒にデザインすることがあります。また、新規立ち上げの会社のロゴや、住宅でも表札をデザインすることもあります。ロゴは店舗やビルや会社のイメージを決定づける重要な役割を持っています。それはどのようにデザインしていけば良いのか?僕はグラフィックデザイナーではありませんが、建築のデザインを通してロゴをデザインする時に気にしていることについて書こうと思います。

 

何を表現すべきかを掴む

まずはクライアントその人自身をデザインの対象と見ることです。それにはクライアントを観察することです。クライアントの話す言葉、仕草、雰囲気からどんな人なのだろうとひたすら観察します。情熱家なのか、クールなのか、奥ゆかしい人なのか、照れ屋なのか。そうすることによってクライアントの根本にある、物事に対する姿勢がわかります。店舗でも会社でも立ち上げる時のポリシーが人柄に現れているはずです。人柄を掴むことが一番大事なことです。それがロゴ全体の雰囲気を決定します。次に会話の中からデザインのヒントになりそうなキーワードを見つけます。会話に出てきた気になる言葉をノートに書きつけていきます。(頭の中に書き込んでも構いません)あとは、店や会社の商品、メニューや売りにしているものを把握します。それが具体的にデザインする時の形態のヒントになります。まずはリソースをできるだけ沢山発見することが重要です。

 

対象は誰なのかを掴む

クライアントの人柄や店舗・会社のポリシー、商品・メニューなどを把握してデザインしても、誰を対象に発信したいのかが分からなければ的外れなデザインになるかもしれません。大人なのか子供なのか、アニメファンなどある特定のカテゴリーに興味を持つ人なのか。ロゴを見た時にパッと感覚的に雰囲気・形態のメッセージを感じ取れる対象はどんな人なのかを常に意識しておくべきです。

 

抽象的なデザインにする

僕がロゴをデザインする時は、なるべく抽象的なデザインにします。僕が具象的なものを好きではないということと、建築のデザインも物事を抽象化して表現することなので、その作法が身についているためかもしれません。見る人に固定化した印象をなるべく持たせないということです。根本にあるコンセプトは把握してもらわないといけませんが、それ以外は見る人によって多様な見方ができる方が良いと思います。

 

オーバープロデュースはしない

抽象的なデザインのロゴに大切なことは、なんでしょうか?それは余白(行間)を持っていることです。余白といってもスカスカしたデザインをするということではありません。オーバープロデュースしない(作り込み過ぎない)ということです。抽象的にデザインしても作り込み過ぎては多様な見方が阻害され、意味を押し付けたデザインになりがちです。足りない部分は見る人が補って意味を深められる、風のようなさらりとした何気無いデザインでも多様な見方ができる面白みがあるものが良いと思います。

 

媒体を選ばず使用できるようにする

最後にもう一つ大事なことがあります。ロゴには色をつけたものが多いと思います。ただ、使用する媒体によってはモノクロの場合もあります。その時にも意図がはっきりと伝わるような、媒体を選ばないロゴデザインにすることです。デザインしている時は盲目になりがちですが、客観的に自分のデザインを眺めることが必要です。

僕がロゴデザインを考える時のいくつかのポイントを書きました。次回は具体的にデザインしたものを解説したいと思います。

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黒川浩之-Kurokawa Hiroyuki-
株式会社FAR EAST 代表取締役
一級建築士
1968年生まれ 東京都出身
横浜国立大学大学院修了

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