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ベッドタウンとしての「ニュータウン」の凋落と「オールドタウン」のこれから−千葉県四街道市の「ニュータウン」を巡る小さな考察−(2)

  1. urban

旭ヶ丘団地のメインストリートを歩く

では次に旭ヶ丘団地周辺とメインストリートを写真で見ていきましょう。

と書きましたが、その前に都市計画を見てみます。旭ヶ丘団地の都市計画図です。

赤枠内が旭ヶ丘団地です。ほとんどの地域が第一種低層住居専用地域(薄緑色)です。建蔽率50%・容積率100%、良好な低層住環境を保護することを目的とした地域です。一般的に良い住宅地と言われることが多いです。団地の中央を走るメインストリートと団地の東側周縁部の一部は第一種住居地域(黄色)です。建蔽率60%・容積率200%、主に住環境を保護する地域です。準防火地域にも該当しています。第一種低層住居専用地域と第一種住居地域の違いは、建蔽率・容積率及び建てられる用途・面積にあります。旭ヶ丘団地でも商店などは制限の少ない第一種住居地域に集中しています。この都市計画図を見るまで、僕は団地東周縁部にみそらニュータウンに繋がるバイパスを計画していることを知りませんでした。まだ全線開通していませんが、確かに拡幅工事をしています。このバイパスにも商店などの商業的な施設を集中させようという意図があるようです。多少の用途地域の差はあれ、基本的にこの団地が住宅を建てるための土地として整備されたことが明確です。用途を分けて配置していくという手法は近代都市計画上一般的ですが、これが今の都市やニュータウンの問題を引き起こしている面もあります。詳細についてはそのうち触れることになると思います。

では、写真で団地周辺及現況を見ていきましょう。四街道駅からのアプローチに沿って、団地入口から団地北方面に進みます。キャプションに子供の頃の思い出や情景を添えますが、記憶違いもあるかもしれません・・・

四街道駅から旭ヶ丘団地へのアプローチ道路沿いの風景。
地方都市によくあるロードサイド大型店舗が建ち並んでいます。
旭ヶ丘団地へのアプローチ道路。
国道51号への抜け道。
千葉県北総部の特徴的な地形、谷津。台地部と低層部が入り組む地形。
小名木川という小さな川のまわりには田んぼが広がっています。
子供の頃は魚やザリガニを捕ったり、正月には凧上げをしたり、毎日遊んでいました。
僕の心の原風景です。
台地部分に旭ヶ丘団地が広がっています。
旭ヶ丘団地入口から団地の中心を貫くメインストリート。
2車線道路の両端に歩道とイチョウの木を配し、街並みを構成しています。

入口近辺の様子。僕が子供の頃は通称「底なし沼?」があってザリガニ取りなどをしていました。
当時は鉄条網が沼に沿って張り巡らせれていました。それをくぐって沼に行っていました。
僕の太ももにはその時に鉄条網で引っ掛けてできた傷あとが今も残っています。
今は埋められて平地になっています。
この辺りから第一種住居地域が始まります。
住居がメインストリートに沿って建っている、ニュータウンによくある風景です。
床屋やクリーニング店、生活に身近なお店が並んでいます。
床屋さんは僕の同級生が引き継いでいます。
クリーニング屋の隣の閉鎖しているお店は上級生の精肉店さんだったような気がします。
かつては色々なお店がありましたが、今ではシャッター街になってしまいました。
それでも新しいお店もいくつか見られます。
手前の青い外装のお店は日仏料理のお店だそうです。
セブンイレブンがありましたが、移転してしまいました。
団地のメインストリートにはコンビニもありません。
あれば便利なはずですが、駐車場がないのがネックなようです。
団地中央付近。郵便局と交番があります。
かつては千葉銀行の支店もありましたが、今は無人のATMがあるのみです。
この辺りも本屋、スーパーのようなお店が並んでいました。
手前の青い屋根のお店はかつては本屋でした。
図書館がわりに最新の本を床に座って読んでいても怒られなかったですね。
今では信じられない寛容さです。プラモデルも売っていたので良く買っていました。
今はデイサービスの施設になっているようです。
団地の中央付近は、メインストリート沿いだけではなく、一本入った通りも第一種住居地域です。
雑貨屋・中華料理屋・寿司屋・電気屋が並んでいました。
雑貨屋には結構流行りのおもちゃが入荷されていて、モーラーやスーパーヨーヨーもありました。
魚屋さんや文房具店もあります。今でも営業しているようです。
比較的新しい(といっても20年?30年?以上ですが)、生協もあります。
スーパーといえるものは生協くらいになってしまいました。
メインストリート沿いとはいえ、空き地もあり、家庭菜園にしている方もいます。
家の近く、最寄りのバス停(団地北)。
僕が中学・高校の頃は、バスの本数も多く、朝や夜のラッシュ時は連続して2本来ても乗り切れないくらい利用者がいました。
今は本数もぐっと少なくなり、利用者数もそれほど多くないようです。
バス停の隣にはサザエさんに出てくる酒屋さんと同じ三河屋さんです。
小学校の時の上級生が引き継いでいます。
メインストリートは団地北のバス停を過ぎると右側に大きくカーブします。
みそらニュータウンへと続く道です。
昔はスピードを出しすぎてこのカーブを回りきれない車が何度か正面の家に追突したり、
横転していました・・・
まっすぐ伸びるメインストリート。

ざっと駆け足ですが、旭ヶ丘団地のメインストリートの現況を写真で紹介しました。子供の頃はそれなりにお店もあって、商店街としての体裁を保っていましたが、今ではその面影がかすかに残る程度になってしまいました。大手の資本が入ったお店ではなく、あくまでも個人商店の集まりでした。高齢化とともにお店がなくなっていくのは仕方がないのかもしれません。

次回は住宅の現況や公共施設の現況について見てみようと思います。

※参考文献・URL 学術論文ではないので、wikipedia等web上の資料も参考にしています。

・コトバンク: https://kotobank.jp/word/四街道%28市%29-1604753

・四街道市HP: https://www.city.yotsukaido.chiba.jp

・wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/四街道市

・風薫るまほろばの里 旭ヶ丘: http://www.catv296.ne.jp/~asahigao/index.html

※設計のご相談・ご依頼はcontactからお問い合わせください。

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黒川浩之-Kurokawa Hiroyuki-
株式会社FAR EAST 代表取締役
一級建築士
1968年生まれ 東京都出身
横浜国立大学大学院修了

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