土地が高い、そうだ中古マンションにしよう!
最近の新聞チラシを見ると、地価も新築マンションも数年前に比べると都心部は特に高騰しています。土地代に予算のほとんどを使い、建てる家は・・・というケースもあるのではないでしょうか?本来はこれから数十年住む家そのものに重点をおくべきだと思いますが、そうはならない場合が多いようです。もちろん僕らに頼んでもらえれば、土地代を低く抑えるために狭小地や変形地を購入しても解決の仕方はあるのですが。(得意分野です!)
そこで、中古マンションを購入して、自由にリノベーションしようという方が増えています。3回の連載で、そんな中古マンションを選ぶ時のチェックポイントやリノベーションのアイデアを僕らの作品を通して解説します。
中古マンションを購入する時のチェックポイント
中古マンションを購入しようと思い立っても、どれを選べば良いのか迷うところでしょう。予算が合うのか、通勤はしやすいか、駅からの距離は近いか遠いか、周辺に買い物できるところはあるか、子育てはしやすいか・・・。いろいろな要素があります。その中でも重要な5点についてざっとですが、ポイントを解説します。
そこで暮らすイメージができるか?
なんだ、感覚的な問題か。そう思われたでしょう。でも実はこれが一番大切です。新築時の土地選びも同じですが、まずは第六感です。これから長い時間を過ごす場所選びに一番大切なのは、好きか嫌いかです。なんとなく、ああここに住んだら楽しそうだなとか、ここでこんなことがしたいな、そんな感覚を重要視しましょう。そこに暮らしている人たちの様子を見ることも参考になるでしょう。生理的に受け付けない場所は、あなたの住む場所ではないのです。
建物の構造をチェックしよう!
地震大国・日本では耐震性は重要です。みなさんは新耐震基準・旧耐震基準という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?新耐震基準は、昭和53年(1978年)の宮城県沖地震の被害状況を受けての耐震基準の改正です。昭和56年(1981年)6月以降に確認済証の交付を受けたものは、新耐震基準をクリアしています。これ以降の建物はある程度安心して良いと判断できます。(もちろん、施工状況・その後の経年劣化などによっても違ってきますが・・・)時々、鉄筋コンクリート造(RC造)が地震に強いのですか?と聞かれるのですが、適切な構造計算をおこなっていれば、耐震性はどの構造でも同等だと思ってください。構造の違いは、空間の作り方・予算・耐火性能によるものです。リノベーションのしやすさならば、RC造のラーメン構造(食べ物ではありません)と呼ばれる柱・梁で構成されたものか、重量鉄骨造(S造)のラーメン構造が良いでしょう。ほとんどがフルスケルトンにして、リノベーションができます。その他、構造に重要な壁の位置、梁成(梁の出っ張り具合)などは管理組合で保管している図面でチェックします。同時に、直床(床下がない)かどうかも確認します。これは、キッチンやトイレがそのままの床の高さで移動できるかどうかに関わってきます。また、階下への音の影響を検討する際の材料にもなります。
設備をチェックしよう!
設備は使用状況・管理状況によって大きく変わってきます。まずは見た目です。屋内の電気・ガス・水道・排水の劣化状況、屋外の配管状況などを見ます。また、電気は何アンペアまで可能か、ガスは給湯器などを交換すべきか、水道は高架水槽か直結か増圧か(水圧に関わってきます)、配管のルートはどうなっているか、換気扇などのダクトルート・位置(天井高さ・配置に関わってきます)などを管理組合で保管している図面でもチェックします。
特に、スラブ(各階を区切っている床)の上・下どちらに給水・排水管が配管されているかは重要です。古いマンションは分譲とはいえ、スラブ下で配管している場合があります。この場合は、管の更新ができませんので要注意です。また、中古マンションではLANなどの通信機能が不足している場合もありますので、確認が必要です。
工事がスムーズにできそうかチェックしよう!
意外に盲点なのが、工事時の搬入経路です。材料などの搬入にエレベーターが使えるか、材料などがエレベーターに入るのかは重要です。高層階でエレベーターが使えないと、手で運ばなくてはならず、工事費が余計にかかります。また、都心部では駐車場がマンション内で確保できるか、周辺に確保できるかも重要です。駐車料金が高い場合はこれも工事費がアップする可能性があります。また、工事ができる時間も重要です。何時から何時まで工事可能か、土日は工事可能かによって工事期間が変わります。時間的な制約が多い場合、工事期間が長くなり、工事費がアップしてしまいます。
管理規約をチェックしよう!
マンションには必ず管理規約が存在します。これにはペット可・不可など生活に関わることはもちろん、リノベーションする時の制約も記載されています。特に多いのが、床の仕様に関してです。構造に関わらず、上下階に他人が住んでいるマンションでは音のトラブルが多く、直床の場合はフローリング不可または遮音等級(L-45など)を満たす材料などの制約を課しているところがほとんどです。そういったデザインにも関わる制約もきちんと確認が必要です。
建築家と中古マンションを見に行こう!
中古マンションを購入する際にはいろいろなポイントをチェックしなければいけません。みなさんが現地や図面を見たとしても、なかなかわからないと思います。その時は僕ら建築家の出番です。気に入ったマンションがあったら、ぜひ声をかけてください。一緒に見に行って確認してから、中古マンションを購入する、それが一番のポイントです!
次回は建築家とリノベーションすることのメリットを解説します。
今日はここまでです。
※このブログを読んで、リノベーションしたいという方はcontactから是非ご連絡下さい。