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2018年のメモ-いくつかの建築の展覧会を見て思ったこと-

  1. architecture

ふと気がつくと今年ももうすぐ終わりです。6月から始めたブログも苦しみながらもなんとか継続しています。記事を読み返してみると、もっと軽い内容を多くアップすべきかなあとも思います。でも書くならきちんと裏付けをとらなくちゃとか、言葉の言い回しはこれでいいんだろうかとか、内容的に浅いんじゃないかとか色々考えてしまうのです。まあこれは性格的な問題なので、僕の書くものはこんな感じだと割り切ってこれからも続けていくしかないかと思うようにします。

今回は備忘録として、今年見た建築の展覧会で気になったものについてのメモを記述して締めくくりにしようかと思います。

建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの

この展覧会は六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展として開催されました。古代から現代までの建築を100プロジェクト・400点以上の展示を集めて、日本の建築に脈々と受け継がれている遺伝子を見つめてみようという企画でした。圧倒的な資料や模型・図面など非常に興味深い内容でした。その中でも僕が気になったのはモダニズム建築の巨匠、丹下健三の自邸です。ピロティによって居住空間が持ち上げられた高床式の住宅で、階段及び機能空間のコアを持ち、それ以外は開放性のある空間が2階に広がっています。コルビジェの近代建築5原則を体現したような住宅なのですが、木造でかつ畳敷きなので和風建築にも見えます。ほとんど住宅を設計しなかった丹下の住宅に対するひとつの解答として、興味深く大きな模型を眺めていました。でも僕が気になったのは建築そのものではなく、住宅のまわりに広がる広っぱです。築山などいくつかの修景はしているのですが、ほとんど何もしていないかのような放り出された空間が広がっています。そして近所の子供がそこを遊び場として自由に使っていたという事実です。今の日本の住宅は敷地が明確で他者が侵入することを極端に嫌います。でもこの住宅はそれをあえてやめているように見えました。公園のような都市の広場にたまたま人が住める建築が建っている。丹下が公共施設を多く手がけていることから、その風景はあたりまえのことなのだという感覚だったのかもしれません。現代の建築家もいかに都市の中に開いた住宅を作っていくかということをテーマにしています。都市に開くというのは単純にガラスで囲った住宅を作ればいいというものではありません。人のアクティビティにいかに関わっていくかということなのだと思います。そんなことをふと感じました。

ちのかたち 藤村龍至展

若手建築家 論客・藤村龍至氏の展覧会です。多様なモデルやワークショップなどをおこなうことによって、絶対的な建築家がデザインを決定するのではなく、より多くの人(知恵)が集まることによってデザインを決定していこうという「ちのかたち」の実践を展示したものでした。天才的な建築家がデザインを一元的に決定する時代は終わった、そうではなく様々な意見(データ)の集積によって導かれるデザインの可能性を探るという方法にシフトしていくべきだということだと解釈しました。それ自体に異論はありません。それの手法が問われていく時代なのだなと感じました。でも「Deep Learning Chair」というプロジェクトのgoogle検索で得られた椅子の画像データを類型化し、そのモデリングのパラメータを変化させて椅子のデザインを生成するという手法は興味深いのですが、結局は誰が最終決定をするのか、自動的に形態が決定するのか、それがちょっと気になりました。

その他に、世界の建築家の最新プロジェクトを集めたGAギャラリーの「GA INTERNATIONAL 2018」や、戦後日本の都市はいかにあるべきかを模索した建築家の思考を図面や写真を展示した国立近現代建築資料館の「建築からまちへ1945-1970」も、モダニズムの建築家のヴィジョンが示されていて興味深い展覧会でした。田根剛氏の展覧会が見られなかったのが心残りです・・・残念。

国立近現代建築資料館は旧岩崎邸の敷地内にあるので、旧岩崎邸も見てきました。その写真もアップしておきます。ジョサイア・コンドル設計の洋館と大工棟梁・大河喜十郎が設計したと言われる和館が渡り廊下で繋がれています。共に明治29年の竣工です。当時の和館はもっと大きかったようです。洋館も和館も今ではなかなか設計できないと思わせる建築です。

右手が洋館、ちょっと木に隠れてわかりにくいですが左手に和館があります。
洋館の廊下
洋館の2階バルコニー
和館の渡り廊下 天井が低く抑えられています
和館の中庭

※展覧会のアイキャッチ画像は各展覧会HPのスクリーンショットを使用しています。

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HK

黒川浩之-Kurokawa Hiroyuki-
株式会社FAR EAST 代表取締役
一級建築士
1968年生まれ 東京都出身
横浜国立大学大学院修了

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